本の中の読めない単語はどうやって(頭の中で)発音すればいいのでしょうか?
ヒアリングに関連して、この質問も多くいただきました。でも、実はこの答えは意外に簡単です。なぜなら、答えはずばり「日本語の本を読む時と同じようにする」だからなのです。でも、それだけでは分かりにくいと思いますので、もう少し詳しく説明しますね。
ぼくらは日本人だからといって、日本語の文章が全て読めるという訳ではありません。ぼくなどは漢字が弱いので、難しい本だとしょっちゅう分からない単語にあたります。でも、辞書はめったに引きません。字面で判断したり、前後関係で判断したり、たまには想像に任せたり……それも読書の楽しみのひとつだと考えています。
知らない言語を学び始めた時に得てして思いこみやすい間違いというのが、分からない単語に突き当たったとき、「分からないのは自分だけで、世の中のその言語ができる人は当然全員分かるのだろう」と考えてしまうことです。
例えばアメリカ人が日本語を習い始めて一年ぐらいの時に、「軒先」という単語に当たって「けんさき」と読み、それを恥に思うかも知れません。こんなよく見る単語を間違えるなんて、おれもまだまだ……などと落ち込んでみたり。ところが実際には日本人の成人でこの単語を読み間違えている人などたくさんいます。ぼくは二十歳の時まで間違えてました。
これでもかというぐらい良く見かける「月極駐車場」という看板も、ぼくは恥ずかしいことに中学生になるまで「げっきょく」という巨大チェーンが運営している会社だと思っていました。「破綻」という文字も、二年前に先生に教えてもらうまで「はじょう」と読んでいました。
一応、実験までに知り合いのアメリカ人数人に本書でも紹介していた児童文学の本を読んでもらったところ、それぞれ2、3ページにひとつは意味を知らない、もしくは勘違いして憶えている、あるいは普通と微妙に違う発音で読んでいる箇所がありました。
完璧に読む必要はどこにもありません。日本語の本――例えば太宰治の文庫を開いて何ページ目まで完璧に読めるか、試してみてください。読めない漢字が出てきたとき、あなたはどうしますか? 辞書を引きましたか? 読み飛ばしましたか? 適当に読みましたか? それとも誰かに聞きましたか?
英語でも同じです。もし日本語で辞書を引いたのなら英語でも引いてみてください。人に尋ねたのなら英語でも尋ねてください。英語は特別な言語ではなく、まして特別な教科でもありません。日本語と同じように接していただければ絶対に大丈夫です。
追伸:
もし辞書の発音記号では分からない!という方はgoo.ne.jpが提供するEXCEED英和辞典(http://dictionary.goo.ne.jp/cgi-bin/ej-top.cgi)というサイトがありますので、行ってみてください。ここでは無料で英語の単語を正確な発音で読み上げてくれます。きっと役に立ちます! でも、くどいようですが「正確」にあまり捕らわれないでください! ほとんどの英語圏の人も、決してそんな正確な発音ではありませんから。(知り合いにオーストラリア人男性がいるんですが、彼は純然たるネイティヴスピーカーにも関わらず、ものすごい訛りなので、言っていることの半分以上聞き取れません。ぼくだけかと思っていたら、彼の奥さん曰く「プロポーズされた時も聞き取れなくて、適当に答えてたらいつの間にか婚約したことになっていた」らしい。)
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