みなさんから寄せられた質問に向山貴彦がお答えします。
本を読むとき、BFCのA=Bなどの文のパターンを気にするべきでしょうか?
文法をちゃんと勉強しないと英語は使えないでしょうか?
珍しく結論から先に書きますと、「いいえ」です。
それぐらい明確に答えられる質問だということかもしれません。
ただ、そうした方が読みやすいなら、ぜひそうして下さい。
文のパターンのみならず、BFCの中に書かれているすべての事柄は、ただ単に英語を読むための手がかりであって、それ自体まったく大事なものではありません。もし英文を読みとり、送り手の気持ちを受け取ることができたなら、それで十分です。既存の英文法もBFCのヒント集もまったく必要ありません。あたりまえのことなのですが、ここで一応念のために確認しておきます。「英語」は学校の教科ではありません。本来は誰も採点しない技術であり、そもそも正解のない曖昧な道具です。世界中の多くの人が意思を通わせる時に用いる通信手段であって、それを誰もが理解できるようにすることを目指して、使い方のコツをまとめたのが英文法です。うっかりすると先に「英語」という教科があって、みんながそれを使ってコミュニケーションをしているようにさえ勘違いしてしまいそうになりますが、実際のところ、「英語」というものの一部がたまたま学校の教科に採用されたというだけです。
BFCではそのルールを参考に、少しアレンジしたルールを紹介しました。でも、それだけです。普通に読んでいて、どうしても分からない文章があったら、試しにAとBの箱を探して、文章を区切ってみる……すると分かる場合もあるかもしれない、というだけです。それに捕らわれる必要も、こだわる必要もありません。
もし文章を読み終わったあとに自分の考えた文のパターンと、本に載っていた「正解」の文のパターンが違っていたとしても、意味が正しくとれていたなら何の問題もありません。
正直、ぼくもしょっちゅう間違えています。英語の本の初版では、実際に間違っていたところもありました。(すみません。今は直っているはずです。詳しくは当サイト内Errataを参照して下さい。)
英語は簡単ですが、英文法を極めようとしたら、化学の勉強をするような細かい知識を追い求める難解な作業をしなければなりません。英文法の専門家を目指している方以外は、そこまで文法を学ぶ必要はないと思います。
野球にもセオリーというものがあります。ピッチャーが配球する上で、この次にはこの球を投げると有利、というような研究体系です。でも、だからといってそれが正解というわけではありません。大暴投や絶好球を投げても三振に打ち取れることもあります。セオリー通り投げても打たれることもあります。うまく三振にとったあとで「セオリーと違うことをやった」と後悔する人も珍しいでしょうし、セオリーと違う配給で打ち取ったからといって、その三振に価値がないということなどあり得ません。英語の文法もこれとよく似ています。あくまでセオリーです。正解ではありません。そして、セオリーをすべて知らなくても名選手にはなれます。
そこで最初の結論に戻りますが、難しい理屈は抜きにして、ずばりなぜ意識すべきでないかというと……それはもちろん、そんなことをしていたら本がつまらなくなってしまうからです! そのまま読んで理解できる場合は気にせず、どうしても困ったときだけ主役と矢印を探してみて下さい。
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★質問への答えはこれからどんどん増やしていきます。お楽しみに!
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