「ほたるの群れ・一学期」四冊の間、高塚永児の日常を見守って下さったみなさま、本当にありがとうございます。四巻を書いている最中、何か面白い「一学期完結記念」のおまけを作れないものかと、ずっとスタッフ内で相談していました。そんな時、ふと「いっそアニメでも作れたら面白いのに」という話が冗談で出ました。
ちょうどとある理由でアニメーション作家の川崎くんと一緒に仕事をする機会があって、川崎くんが「やってみましょうか」と言うので「ほんと?」という話になり、最初は「ワンカットぐらい」と悪ふざけのような話だったのですが、「せっかくだから『ほたるの群れ』をいろんな人に知ってもらうPVにしましょう」、という形で徐々に話が進んでいました。
ヤハチにも冗談半分で「アニメのPV作ったら音付けてくれる?」と聞いたら、ヤハチが「いいよー」と軽く言うので、「じゃあ、コンテだけでも切ってみようか」と川崎くんとコンテを作り始めました。
「ほたるの群れ」の内容から言って、おそらくテレビアニメ化される可能性は極めて低いし、せっかくだから好きにやろうということになって、割と身勝手に色々な意見を出していきました。
「永児一人じゃ寂しいし、喜多見も出したいよね」
「でも、二人出すなら、阿坂と会長もいないと変じゃない?」
「背景も三つぐらいはほしいよね」
「戦闘シーンがないとほたるらしくないよ」
「でも、学校でのシーンがないのもおかしいよ」
などとやっているうちにコンテが1シーンから10シーンくらいにふくれ上がり、当初考えていた二十秒ぐらいのスポットではなく、二分ぐらいの予告編の長さになってしまいました。一ヶ月ぐらいしか製作時間がないし、予算がまったくないので、どう考えても不可能な企画だったのですが、やり始めているうちに夢中になっていき、気が付いたら永児たちが動き出していました。
そこから一ヶ月——初めてのCGアニメ製作は手探りで、トラブルばかりでしたが、川崎くんとヤハチの力を借りて、家内制手工業がモットーのスタジオ・エトセトラ史上最大の「おまけ」がなんとか形になりました。さらに、アニメのことを知った幻冬舎さんの粋な計らいで、とある大きな書店さんの店頭でアニメを流してもらえることになりました。今週初め、その書店さんで先行上映を開始し、今週末くらいまでに、サイトのこの場所で一般公開を開始します。
書店の上映情報は決まり次第、また詳細を発表させていただきます。一般公開の日時はその後、追ってお知らせします。今日はそのアニメのスチルをほんの二枚だけ、まずはサイトをごらんのみなさまにこっそりプレビューを。
「読者を楽しませたい」という思いだけから生まれたこの二分間のアニメ——初製作で至らない点もあるかもしれませんが、一学期の間、永児を見守ってくださったみなさまに感謝の気持ちを込めて、スタッフ全員でいっしょうけんめい作りました。一学期の終業式代わりに見て頂けたら幸いです。
向山貴彦とスタジオ・エトセトラ一同より