こんにちわ、向山です。
十年ほど前、慶應義塾大学三田キャンパスで行った「1/60秒の永遠」という講演が十年の時を隔てて、当時の講演集「リスクの誘惑」という本に収録されることが決まりました。本書は慶應義塾大学出版会から発売される豪華な執筆陣によるれっきとした学術書で、内容は大変しっかりしたものです。——ぼくが書いた部分以外の話ですが。
人間が持っている「危険性に惹かれる本質的な衝動」をテーマに書かれた論考が中心となる本書の中で、唯一、よりにもよって二十代の時のゲーム日記を書いております。その中心になっているのが、当時、後先考えずに全財産をつぎ込んだバーチャファイターという格闘ゲームについて。別に論理的な考証を行っているわけでもなく、ゲーム批評をしているわけでもありません。主に大学の授業をさぼって、想像を絶するほどボロいゲームセンターの前で開店を待って並んでいるぼくの様子がメインのエッセイです。
はい。本の中で一人だけ非常に浮いております。高校受験の時に一人だけ間違って私服で登校した時ぐらいの浮き方していて恥ずかしいです。小松左京さんの生前最後の貴重なインタビューも収録されている本に、ゲーム日記を載せてしまうことを大変恐縮に思っておりますが、声をかけて下さった宮坂先生、巽先生、そして慶應大学出版界のHさんのご厚意に酬いようと、一生懸命当時を思い出して書かせていただきました。
たかがビデオゲームにぼくがなんで250万円も使ってしまったのか知りたい方……大学生なのにまったく勉強していなくて、自分よりも下の人間を見て安心したい方……どんなことでもある段階までやり込むと、時には人生を変えるほどの教訓を与えてくれるという実例を読んでみたい方……「リスクの誘惑」2011年9月13日に発売予定です！
amazonはこちらから。
（一般書ではないため、定価が3360円と高めになっています。ご注意下さい。）
