桜咲く四月一日。
まさに今日、入社式だったという方もいらっしゃるのかなあと思います。これから社会に出るということで、きっと不安や心配もあることでしょう。
考えてみたら、学生時代というのは長いチュートリアル期間です。ゲームの冒頭で、手取り足取り操作方法を教えてもらえるあの時間です。Aボタンを押したらジャンプ。Bボタンでダッシュ。練習するだけで「がんばってる=いいね!」と言ってもらえる期間。
でも、ここからは本番のゲームです。広いマップと、自分というキャラが、ルールがあるようでない新しい世界に降り立つ時です。
その「人生」というゲームは決して悪いものではありません。いやなこともあるけれど、幸せなこともたくさんあります。出会いもあります。別れもあります。そのどれもが、チュートリアルにはない鮮烈さを持っています。そしていちばんいいのは、大人と言われる人たちは、ほとんどみんな同じゲームをやっているということです。
形が違っても、リアルでも、バーチャルでも、いつでもそのゲームの話ができる人たちは身近にいます。つらいことを話して、楽しいことを分かち合って、一緒にやっていくのがここから始まるゲームです。
今、手に持っているそのマップは、ずっと使ってもいいけど、交換もできます。やっていれば「経験値」は溜まります。「ジョブチェンジ」も可能です。しんどい、つらい、やめたい、と思ったら、まずそのことを思い出してください。
たかが電話一本、取るのが怖くてしょうがないのは、あなただけではありません。同期のあの子も、パリピっぽい先輩も、ベテランの方々も、みんな最初は怖かったんです。一見こなれているように見える子は、すごくがんばっているか、別の場所でその練習を積んできたに過ぎません。
だいじょうぶ、みんな一緒です。少しずつ、少しずつ。
大人のみなさん、人生デビューおめでとう!!
余談 ~私のやっていた電話を取る時のコツ~
・最初に電話に出る時のセリフ(「○○会社の○○です」みたいなの)を紙に書いて、電話の近くに貼っておく。一言目に慌てなくて済むので、冷静になれます。
・聞き取りづらかったり、周囲が気になる時は、一瞬目を閉じて耳に神経を集中させる。周りの人が聞き耳を立てているような気がして緊張しますが、僧侶になった気分で無視します。
・本気で聞き取れない時は「申し訳ありません、お電話が遠いようで……」と、電波のせいにする。だいじょうぶ、けっこう何度でも繰り返してくれます。
・分からない時は、とりあえず「少々お待ちください」で保留ボタン。この時期は新入社員の方が多いので、周囲もお客様の側も慣れています。ゆっくりやってOKです。
ちなみに「やっていた」と過去形にしていますが、今もやっています。大人、こんなもんです。