みなさま、こんにちは。あなたの知らない……は、もういいか。
前回はこちらのノートと、そしてビデオの時代についてお話をさせて頂きました。今日はそのノートについて、もう少し掘り下げて見ていきたいと思います。(いやだと言われてもやります。せっかくのネタだし)
映像、小説、マンガや動画……あらゆるコンテンツは、世に出た瞬間に評価の対象となります。いい評価だけでなく、悪い評価もある。でも、そのすべてが「見ました」という、ある種の確認印になっています。端的に言うと、いいにしても悪いにしても、評価があるということはイコール「見てもらえた」ということで、この時点で作者の意図は半ば達成していると言っていいでしょう。
こちらのノートにも、映像作品に関して評価が下された形跡があります。一本一本、一人で観たものは一人で、数人で鑑賞した者はそれらの総合の反応として、十段階の数字が書かれています。「SCORE」と題された、この部分です。
上から数字を見ていくと10、8、9、9、9……なかなかの高評価が並んでいるではありませんか。このノートが作成された当時、日本で観ることができたのはそれなりに現地でも評判が高かった作品と思われるので、高評価も納得です。加えて、自分達でお金を出して借りたという現実。中学生にとってレンタルビデオがそれなりにお金のかかるものだったことを考えると、間違っても低評価の作品などあってはなりません。むしろそんな作品を借りた自身を焼き殺したくなることでしょう。
それらの結果としての高評価、と言いたいところですが、実はノートの最後のページに、この数字の基準となるデータがありました。十段階の採点表、その内訳はこのように付けられていたようです。ご覧下さい。(※画像の下にテキストを打ち直してあります。詳細はそちらでお読みくださいね)
〜採点表の点数の意味〜
評価0:はっきり言ってこんな点数をつけられる映画はほとんど存在しないはずだ。作った連中は脳みそがくさっている。
評価1:こんな点数の映画は作る方もバカだが、見る方は大バカである。捨てたい金がある時に観に行くと良い。
評価2:浅草のリバイバル劇場や●●●のスラム街の映画館に行くと、時たまこんなような映画が見つかる。
評価3:まあ、この点数は要するにグチャグチャの映画。「キラートマトの逆襲」とか「血まみれ農夫……」などがこの点数である。
評価4:これがビデオに保存するための最低の最低の点数である。人間で言うと、ここまでが基本的人権を持っている。
評価5:言っておくが「5」だからと言って平均点という訳ではない。アマチュア映画だってこの点数のものはザラにある。
評価6:ここまでいけば、まあ観れない事はない。人によっては好きな人すらいるだろう。でもその人は私ではない。
評価7:平均点。もう一工夫さえあればある程度はヒットしたかも知れない。残念ながらその工夫はなかったのでこの点数。
評価8:なかなかの秀作。ところどころシナリオや演出にひっかかるところこそあれど、総合得点はそれを十分カバーしている。
評価9:ほとんど完璧で、何らかの形で映画の歴史にこうけんしている。ここまでくれば文句は言えない。
評価10:総合芸術の粋を集めたような名作。人生一度はこれを見なければ損をする!!
さらに右の方にある☆印は、「特選ソフト/だれもに一度は見てもらいたいすばらしいソフト」とのことですが、左側は「MUST(観なければならない)」で右側は「MUSN’T(絶対観るな)」とあります。逆にすると大変なことになりそうなので、気を付けたいところです。
さらにノートを探ると、一番評価の高い映画は一本目の「サイコ(評価10)」。一方で、評価は8レベルであるものの「MUST」の☆印が付いているのは「ザ・フォッグ」「デッドゾーン」「ジョーズ」「エイリアン」などの往年の名作ホラー作品です。セレクションには多分に本人達の趣味が入っているとは思いますが、こうなると俄然一番低い映画に興味が湧きます。
ノートに載っていた最低点は、と探ると……「バスケット・ケース(評価5)」!! さらに「MUSN’T」の☆印すらついている!! 私自身も観たことのある作品ですが、まあ、「切り離されたシャム双生児の兄弟が、肉の塊みたいな片割れをバスケットケースに入れて持ち歩く」っていう設定からすでにトンデモホラーという感じだったので、妥当な評価かと思われます。ただし、なんか無茶な飲み会とかの時に流しておくと盛り上がる可能性もあるので、それくらいの感じで機会があればチェックしてみるのもありかもしれません。(でも忘れないでください。あくまでMUSN’Tです! 自己責任で!!)