パイポ

スタジオ日誌「焚き火の側」

「地下ノ森」や「世界一簡単な英語の教室」などでお世話になっている庭師集団・涼仙の「森サロン」に猫蔵と二人、お邪魔してきました。涼仙の本社は森です。正確には森の一角に砂利を敷いた敷地で、そこに資材置き場と小さな建物がいくつかぽつんぽつんと建てられています。建物はすべて手作り。仕事の合間に板と釘とあまった資材で作られたものばかりですが、どれも見たことがないようなかわいいミニハウスです。事務所に至っては、建物の真ん中に生えていた木をそのまま支柱に使っているため、部屋の中に緑の枝葉が広がっています。会社というよりも、森の片隅に建っている、小さな村です。

IMG_7703
(涼仙の森の中程に建つ二階建てのウッドデッキを囲んで)

この一角は周囲だけでなく、上もドーム状に木に囲まれていて、驚くほど静かです。寝転がれば、視界いっぱいに青いバックに木の葉の天井が広がります。こんな時期でも不思議とほとんど蚊もいません。
そこに仲間みんなで作り上げた二階建てのウッドデッキがあって、二階部分には屋根もないのに皮のソファセットが置いてあります。「雨が降ったらどうするんですか」と聞いたら、涼仙代表の井上さんは「まずいでしょうね」と大笑いしていました。そんな感じの豪儀な人たちです。

本日はそのウッドデッキの下で、一日中炭火のコンロで好きなものを焼きながら、お酒を飲み、人生を語る日でした。集まっている人たちは道具と材料だけあればなんでも作ってしまう人たちばかりなので、聞く話聞く話、みんな圧巻です。ぼくが座っていたワイヤーフレームのかわいいベンチも、隣の人が作ったものだとあとで知りました。石だけで数百年崩れない門を作る人や、仕事の合間に家を一人で建てちゃう人もいます。

しかし、ぼくもせっかくきたのだから、何かひとつくらい貢献しないといけません。
といっても、木工仕事はイケアの組み立て家具が上限いっぱいいっぱいです。そんなぼくにここで何ができるでしょうか。
見れば傍らで焚き火が激しく燃え上がっています。貯めてある薪をふんだんに使ったもので、うちの庭でやったら確実に明日の朝刊に載るレベルの大きさです。周りは森。火花が闇夜にパチパチと飛んでいます。もうこうなったらやることはひとつしかありません。
そうです。マシュマロを棒に刺して焼くことです。

聞けば、みなさん誰もやったことがないというではありませんか。
これはいけません。人生の喜びの七割強は焚き火で焼いたマシュマロを食べることです。設計論や業界の未来を熱く語るみなさんを横目に、慌てて車を走らせて近くのスーパーに行き、マシュマロを買ってきました。
しかし、割り箸に刺して焼こうとすると、さすがは庭師の焚き火です。火の勢いが強すぎて、マシュマロよりも先に指が焼けてしまいます。
「もうちょい長い棒みたいなものありませんか」と近くの職人さんに尋ねてみたところ、「ちょっと待ってて下さい」と倉庫の方へ走っていったので、金串か木の枝でも取ってきてくれるものだと思っていました。でも待っていても、なかなか帰ってきません。見ると、倉庫でうずくまって何かをしています。五分経っても戻ってこないので様子を見に行くと、「ちょうどできました!」と言って見せてくれたのが、竹からたった今削り出した三本の長い竹串。ちゃんとマシュマロを刺す側は、口に棘が刺さらないようになめらかに加工されています。たかがマシュマロ数コを焼くのに浪費される職人技が泣けます。

IMG_6432
(焚き火で焼くマシュマロ)

結局、マシュマロを一袋半焼いて、ついでに買ってきた花火で遊びました。いいおっさんがみんなで花火をする光景というのはなかなかに哀愁深い味わいのあるものです。ついはしゃいでしまって「子供の時って尻で花火を消すのってよくやりましたよね」と言って、一同に引かれたりもしましたが、あっという間の数時間でした。落ち葉のブローワーで焚き火をスーパーサイヤ人モードにして遊んだのもいい思い出です。

家に帰って来て右手を見てみると、すっかりマシュマロの焼きすぎで手の甲が赤くなっていました。
思えば小さい頃、よくこうして焚き火でやけどをしました。近所で誰かがいつも焚き火をしていて、夕方になるとどこからともなく煙の匂いが漂ってくるのが普通の時代でした。コンロの火しか見ない生活を二十年以上していると、こうして焚き火を前にした時、いかに自分が自然から離れているのかを思い知らされます。

家も、ベンチも、二階建てのウッドデッキも、その気になれば一人で作れることを教わった一日。
それにしても、あのソファセットが心配でなりません。

(向山貴彦・2016/6/5)
studio-memo01-2

広島の展覧会に宮山香里登場!

cose-larte-dm

情報が遅れてすみません。童話物語でおなじみの宮山香里が昨日から広島で始まった展覧会に参加しています!
日本の南の方にお住まいの皆様、よかったらぜひお立ち寄り下さい。

Cos’è l’Arte?なにがアートなの?
「序章 −confine境界− 」

2016年1月19日 – 31日
Gallery G
〒730-0012広島市中区上八丁堀4-1
tel: 082-211-3260

展示作家:岡﨑歩・栗原和美・七搦綾乃・藤田はるか・宮山香里

公式サイト:http://gallery-g.jp/exhibition/confine/
*画像は公式サイトからお借りしたものです。

2016年、あけましておめでとうございます!

2016nenga7_s

スタジオ・エトセトラより新年の御挨拶申し上げます。
寒い時期ですが、みなさまが温かい場所におられますように。
今年もどうぞよろしくお願いします。

『中之条ビエンナーレ2015』に宮山香里の作品が登場!

9月12日から群馬県で始まる「中之条ビエンナーレ2015」に「童話物語」でおなじみの宮山香里と、「世界一簡単な英語の教室」で「幻の移動書店」の書棚製作を担当したクリスティアン・ボッフェッリの作品が登場します!

中之条ビエンナーレ」は群馬県のひとつの地域が丸ごと美術展になるという、楽しくて不思議な祭典。温泉街や山村、古民家や廃校などを舞台に、現代美術の作家たちが様々な作品で風景との共演を果たします。各地を車で巡りながら見て回るスタイルの美術展です。

kaori_01
今回、宮山香里は文化遺産である富澤家住宅の蚕部屋にて、100mほどの絹を使ったインスタレーションを作り上げています。住宅そのものも江戸時代に建てられた国指定重要文化財の養蚕農家で見所いっぱいです。
詳細ページ:http://nakanojo-biennale.com/artist/kaori-miyayama

chicco_01

クリスティアン・ボッフェッリは材木屋の従業員が使っていた木造小屋をドローイングと版画で埋め尽くすという大胆な試みに挑戦。
詳細ページ:http://nakanojo-biennale.com/artist/cristian-boffelli

中之条は四万温泉をはじめ、沢渡温泉や六合温泉など、豊かな温泉地もたくさんありますので、週末のお出かけにぴったりです。
この秋はぜひ、不思議な町「中之条」へお越し下さい!

 ————————————————————————

中之条ビエンナーレ2015
【開催日時】
 2015年9月12日(土)〜10月12日(月)9:30〜17:00 会期中無休
【入場料】
 鑑賞パスポート 800円(前売) 1000円(当日)
 高校生以下は入場無料です。

 ————————————————————————

また、今回のビエンナーレを機に、群馬大学教育学部と附属特別支援学校と組んで、宮山とボッフェリが「フラットホーム」というアートカフェの準備にも協力しました。
9月19日にはワークショップも予定していますので、ぜひお気軽に参加して下さい!

世界一簡単な英語の教室 会場風景

5月24日、吉祥寺で行われた「キッズ・ブックス presents ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の教室」へお越しいただき、ありがとうございました! 当日の会場の様子を少しだけ写真でお届けします。(写真は演出担当の涼仙のスタッフが撮影したものを中心に編集しています。)

IMG_5344_trim
参加者に配布されたリーディングキットは、裏側にジェレミーの格言の入った栞付き。秘密の封筒も付いています。
これ以外にも「読書に困った時に開けるお守り」が一緒に配布されました。

IMG_5275
スライドショーの様子。「イチゴ」と「strawberry」のイメージの違いについて向山が解説中。意味は同じでも、日本語と英語ではイメージがまったく違う言葉というのが多数あります。

IMG_5332_trim
仕切られた壁の向こうから、最後に姿を現した「移動書店」。生木と流木、麻布、枯れ枝などを用いてわずか20分の間に会場に出現した「森の書店」です。製作は涼仙 with 宮山香里クリスティアン・ボッフェリ。書店は三回目のチャイムと共に、会場から再び姿を消しました。

IMG_5283
おすすめの本が流木と枯れ木の間に立ち並ぶ様子はどこか幻想的。三十分だけの「幻の書店」。今回の製作総指揮は涼仙の期待の新人・飯塚光平によるものです。

IMG_5323
美しい挿絵の英語の児童書が手作りの「書棚」に並べられています。

bfc_doll
「移動書店」のレジではビッグ・ファット・キャットも笑顔(?)でお出迎え。

猫の巻

猫の巻2
おすすめブックスにはすべて猫蔵手作りの「猫の巻」が一巻付いて来ました。読む時のヒントと手助けになることがいっぱい書かれています。尚、本数限定で現在キッズブックスで以下の書籍をお求めになると、同じ猫の巻が付いて来ます。(売り切れの場合はご容赦下さい。)
・Mr. Putter and Tabby Pour the Tea
・Ottolline and the Yellow Cat
・The Van Gogh Cafe
・Catwings
・The One and Only Ivan
・Smile
・Love That Dog
・A Monster Calls
・Stargirl
・Holes
・Sammy Keyes and the Hotel Thief
・Warriors: Into the Wild
・I Funny
・Heart of a Samurai

IMG_5325_trim

キッズブックスの看板は宮山の手作り。移動書店——次はあなたのそばのどこかに現れるかも!

【おまけ】
最後にスライドショーのオープニングをしばらくの間だけ限定公開!
音楽はoo39製作の『ビッグ・ファット・キャットが始まるよ!』。猫の声を演じているのは「ほたるの群れ」でおなじみのあの人です。

*万が一掲載写真に何か問題があった場合は、こちらからメールでご連絡いただければ幸いです。

ほたるの群れ・次回予告

どてら猫

童話物語 幻の旧バージョン

ほたるの群れ アニメPV絶賛公開中

作者公式サイト

  • RD
  • Change by Gradation

作品公式サイト

  • 童話物語
  • BIG FAT CAT
  • 絶叫仮面
  • 絶叫仮面モバイル
  • ほたるの群れ
  • 五倉山中学日記
  • ねこうた
  • なまけもん
  • ちゅうちゃん