パイポ

クリームシチューの憂鬱

そろそろ冬も終わり……と、思いきや、やけに冷えた一日でした。

お元気ですか、猫蔵です。寒の戻り、というには少し早いけれど、そんな感じがする日です。(ちなみに「寒の戻り」は寒ブリが美味しい季節のことではありません。誰とは言いませんが、向山へ私信です)

こんな日にぴったりな美味しい食べ物について、ともすれば見逃してしまいがちな事実に、この間気がつきました。

クリームシチュー。

冬場のけっこうな人気メニューです。でもこのクリームシチュー……外で食べたことはありますか?

そう。意外と「外食にない」のです。

カレーは、同じく食卓の人気メニューですが、外でも食べます。ファミレスで、喫茶店で、専門店で、それぞれの店の「カレー」がメニューに名を連ねています。家のカレーがどんなに美味しくても、いや、むしろ通常のカレーが美味しければ美味しいほど、カレー好きの人たちは外食においてもカレーを楽しむ。そんなスタイルが成り立っています。

対して、クリームシチューは?

冬の印象が強いため通年メニューにしにくい、というのはあるでしょう。でも、季節の限定メニューにすら、ほぼ顔を出すことがありません。同じくホワイトソース系のグラタンやドリア、時にはラザニアまで存在するのに……さらに言えば、ビーフシチューの方は「長時間煮込まれた」クリスマスの限定ディナーなどで、高級メニューとして頭角を現しているのに、です。

クリームシチューは自宅で作るもの。外で食べるとしても、せいぜい給食で出る程度で、お店で食べるものではない。そんな認識が一般の人に広く共通しているようです。

でも、クリームシチューの立場が低いかというと、そんな印象も受けません。好かれているか嫌われているかでいったら、間違いなく好かれています。ということは、結論としてはこういうことでしょう。

市販のシチュー(のルー)が、完成形に達しすぎた……。

確かに、私の中でもシチューと言えば、ハウ○のあのルーの味です。もし外の店で、オリジナルに作ったシチューが出てきたとしたら、どんなに美味しくとも「違う」と感じてしまう気がします。それほど、○ウスのルーは完璧なのです。いかにオリジナルレシピで作ろうと、高価な具材を投入しようと、我々が目指す最終着地地点は常に「○ウ○のシチュー」なのです。

恐るべし、ハ○ス食品。彼らはシチューを極め、そのあまりにシチューの原型であり、かつ最高の形を自宅で簡便に作る商品を開発してしまったのです。

定番化する商品は数あれど、これほどまで唯一神として君臨する商品はなかなか珍しいのではないか……そう思って、シチューを食卓に並べると、様々な思いが脳裏を過ります。

開発者のこだわり……

パッケージの工夫……

工場での作業や流通経路……

まあ、結果、シチューが冷めたので、あまりおすすめしません。美味しいものは美味しい、それでいいじゃないか、と。

ちなみにこのシチュー、ごはんにかけ……(新たな論争の予感がしたのでここでやめておきます、ちなみにかけるの、あり派です)

向山貴彦+たかしまてつをの新連載「金網の向こう」始動!!

本日の、とりわけ嬉しいお知らせです!

向山貴彦の未発表エッセイ「金網の向こう」を、あの!「ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本」のイラストレーター・たかしまてつを氏が、ツイッターで連載してくださることになりました!! 

連載はたかしまてつを氏のツイッターからご覧頂くことができます!! 

https://twitter.com/takafine?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

Twitter ID: @takafine

なんかもうちょっとスマートなリンクの貼り方があると思うのですが、今はこれしか……すみません!

この期に及んで(というとよくないことのようだけど…)、向山が新連載をできるなんて、ほんと夢のようなお話です。テディ&たかさんのコンビがまた見られるのも、私自身楽しみでたまりません。たかさん、ありがとう…!! 

どうかみなさまに、岩国でのちょっと不思議な?少年時代をここから楽しんで頂けたらと思います!

よろしくお願い致します!!

猫蔵拝

そうだ、チリを作ろう。

こんにちは、猫蔵です。

本日は4年目です。何が、というまでもなく、アニバーサリーです。(英語のアニバーサリーには、日本語の「記念日」のようなお祝いっぽい印象は特になく、何かしらの「特定の日」を表すそうです)

と、いうわけで、チリを作ります。

うちでは、料理の大半は私が担っていたのですが、「チリとタコスは向山担当」でした。なので、これは彼のレシピです。

やっていこー!

〜テディのチリ〜

材料:

牛ひき肉 400〜450gくらい(正式なレシピでは牛ですが、うちでは「漢気がありそうな顔つきなら合い挽きでも可」ということにしています。なので写真は合い挽きです。)

玉ねぎ 一個

ピーマン 一袋(四つくらい)

レッドキドニービーンズ 400g(大きいのだと丸一缶、小さいのだと二缶)

トマト缶 一缶(カットでもホールでもいいです。何かを握り潰すのが楽しい人はぜひホールで!)

塩 小さじ1〜大さじ1杯くらい

チリシーズニング 1袋

※うちではローリーのものを使ってます。こういうのです。

近年お店で見かけておらず、すわ撤退かと憂慮したのですが、本日無事にカルディさんで生存を確認しました! よかった! 他にもオールドエルパソという会社から出てるのもありました。

これで大体できますが、味調整の時にケチャップやウスターソースがあればそれもまたよしです。

あとは食べるときに好みで:

溶ける系のチーズ

クラッカーか、カリカリめに焼いたトーストか、トルティーヤチップス山盛り(ダメさにひたれる順)

では、手順です。

手順:

1、玉ねぎとピーマンをみじん切りにして、深め&でかめの鍋かフライパンに油を敷いて炒めます。

※フードプロセッサーがあったら、ためらいなく使ってください。

※フライパンがなければ鍋でもいいです。具材と水を全部入れるとけっこうな量になるので、小型のだと死にます。

2、1の野菜がしなって気合いが抜けてきたら、ひき肉を全てぶっ込み、だいたい火が通るまで炒めます。

※この時、しこたま油が出るので、フライパンや鍋を傾けてキッチンペーパーで吸い取ると良いです。吸い取らないと肉が揚がってしまって、焦げたり固くなったりします。よくない!

3、チリシーズニング、キドニービーンズ(缶の汁は切る)、トマト缶、塩、空いた缶に水を一杯分くらい入れて、混ぜて、こげないように弱火でしばらく煮込みます。

※チリというと「炒める」イメージがあるかもですが、大事なのは「煮込む」ことです。しっかり煮込むと、しっかり味が馴染みます。時々かき混ぜながら、15〜20分くらいは煮込みましょう。

※煮込む途中で水が足りなくなったり、こげつくようならまったりと水を足してください。

4、ある程度水気が飛んで、もったりした感じになったら、好みの味に整えて完成です。塩を足すほか、ケチャップやウスターソースをちょこちょこぶっ込んだり、チリパウダーを追加しても○

※チリパウダーは辛味が強い場合もあるので、お気をつけください。

※悪くないけどなんか味がまとまらないな?という時は、砂糖を大さじ1くらい投入するといい感じになります。理屈は分かりません。自己責任でお願いします。

食べ方…

①皿に好きだけ入れて素食い

②チーズをのせてまろやか食い

③クラッカーやトーストに載せてオサレ食い

④応用で、コッペパンに火を通したソーセージを挟み、上からかけてチリドッグ食い

⑤飽きたらごはんのおかずに(ちょっと邪道ですが、私的にありです)

どれでも美味しいです。うちではトルティーヤチップスですくって食うのが至高とされてます。

冷蔵庫で数日保つので、作り置きして深夜ゲームのお供に…ダメ人間に浸りたい休日の午後に…ネトフリ三昧の連休に…

Let’s CHILLI party!!

「ひなまつり」の応援歌

今日は「ひなまつり」。
女の子の成長を祈る春の節句。

ご無沙汰しています、studio ETCETERA の宮山香里です。
代表 向山の思い出を振り返りながら、近況報告を少し。

向山は、常に女子の応援団長でした。
学生時代から、口癖は
「男ってほんとバカ」「女子は頭いいから」。

そして周囲の女子たちのよいところを見つけては、
「表現のすすめ」をしていました。
妹のちゃうらん、学生時代のクラスメート(私)、ゼミ仲間の猫蔵‥。
スタジオスタッフとなった私たちは、向山と関わることにより、自らの「表現」や「物語」についての深みにハマることになります。

どちらかというと男尊女卑的な考えがまだまだ残る日本で、テディは、いつも「女は強い、頭がいい」を唱え続ける貴重な存在でした。自らの母ジョディーをはじめ、身近にいる女性から感じた経験に裏付けされているので、説得力があります。

『童話物語』も、女子への応援歌。
ペチカ、守頭、オルレア、ヤヤ、
強く前を向いて歩き続ける象徴は、常に女性でした。

ここを見ている女子の皆さん。
周囲の目に捉われず、自由に「表現」を続けてください!
これが向山の強いメッセージだと信じています。

最後に私の近況を少し。
イタリアを中心に、ここ10年のアート活動をまとめた作品サイトを更新しました。
http://studioetcetera.com/kaori/

また、BLANCOとして、違いを越えたコミュニケーションを生む場をつくるアートワークショップを続けています。
https://blanco.themedia.jp/

日本の地元では、「だれもが自由に表現できるまち」を目指して、アートと社会を繋ぐアートプロジェクトに携わっています。NPO法人アーティスト・コレクティヴ・フチュウの理事として、自治体と協働して新事業を展開しています。
https://acf-tokyo.com/

今後少しずつ、地元府中や、今月後半から滞在するイタリアでの活動報告もお知らせしたいと思います。

こうして、心の故郷studio ETCETERAのサイトを再稼動できることの幸せ。
皆さんの「ひなまつり」に乾杯!

オイルヒーターと醤油パックが起こした奇跡

※悪いことだとは思いませんが、故人というのはとかく美化されがちなものです。例え日々飲んだくれてしょうゆの瓶で家族を殴りつけるような暴力じじいだったとしても、亡くなった後は「仕事熱心な人だった」「よく近所の犬に餌をやっていた」などと、いい話ばかりがささやかれるものです。向山に関してもそれは同じで、ともすれば深みのあるエッセイや、人生を掘り下げた発言ばかりがクローズアップされがちな部分があります。

しかし、思い出してください。彼の書いたものには、相当くだらないネタもありました。何せ、クリエイターとしての原材料がホラー映画と必殺シリーズという男です。それほど人生について深いことばかり考えていたわけがないのです。

今回は、そんな向山の低劣な一面を思い出して頂くべく、こんな回をチョイスしてみました。気楽に、期待値を下げてお楽しみいただけたらと思います。あと、石を投げないでください。(猫蔵)

オイルヒーターと醤油パックが起こした奇跡

長い間生きていると、たまにあり得ない出来事に遭遇する。今日はある冬の寒い日、ぼくの身の上に起きたちょっとあり得ない出来事を紹介したい。 

その日の昼、ぼくは近くの某パック寿司専門店でランチのお得パックを買って、家で食べているところだった。寿司という割には軍艦巻きにコーンが乗っていたり、にぎり寿司のネタがハムだったり、なかなか斬新なラインアップのパックだったが、このジャンクな感じが気に入っているので、特に文句もなくおいしくいただいた。

問題は寿司ネタではない。たとえエビが見たことがないほど薄くても、イカでもたこでもない第三の軟体海洋生物が含まれていても、それは問題ではなかった。――問題はここの醤油パックなのだ。

いい加減ぼくも塩分を控えなくてはならない。そのため、最近はいつも少なめに醤油をかけるようにしていて、パックの中の醤油が使い切れないことが多い。

しかし、どうもこの国ではパックの醤油というのは使い切るのが当たり前らしく、使い切れなかった醤油のパックを食べている間どうするのか、ということに対して、誰も論議の必要性を感じていないようだ。

こうしてこれを打っていても、全国のどこかにある「使いにくい形をした醤油のビニールパックを作る会社」の製作担当部署での上司と部下の会話が聞こえてくる気がする。

部下「部長、このパック、醤油が中に残っていると、立てることも寝かせることもできません。ごみ箱に捨てたら、ごみ箱の内側が醤油まみれになってしまいます」

上司「そんなもん使い切ればいいだろ」

部下「しかし、みんなが使い切るわけじゃありません。現にぼくもこうして昼ご飯の醤油をまだ右手に持っています」

上司「そんなやつはおれが残った醤油を鼻から流し込んでやる」

部下「や、やめてください、部長! げふっげふっ!」

仕方ないので、裏返しにした蓋の端に醤油を斜めに立てかけておいたのだが、当初からとても怪しいポジションだとは思っていた。

そうしてなんらかの魚だということ以外、あまり種類の分からない寿司ネタを食べていると、何かが喉につかえて、ふいに咳き込んだ。何がつかえたのかは分からないが、推測するならきっと寿司ネタのフリをしていけしゃあしゃあと軍艦巻きに乗っていたあのコーンだと思う。あいつはそういうことをしそうな気配があった。

で、咳き込んだはずみに膝が醤油をたてかけた蓋の角に当たり、蓋が斜めに跳ね上がった。

ちょうど古代ギリシア時代に城門の攻略に用いられた投石機のような美しいアーチを描いて、醤油はぼくの目の前を舞った。

この瞬間、誓って言うが、一瞬醤油のパックの動きがマトリクスのようにスローモーションで見えた。もしこれが3Dカメラで撮影されていたら、ぼくの頬のすぐ横を大迫力で回転しながらビニールの醤油パックがかすめていく映像に、観客はみんな身を逸らしていたはずだ。

醤油はきれいにソファの肘置きを飛び越え、その向こうにあるオイルヒーターに向かった。オイルヒーターというのは、あの白い金属のパネルが五、六枚縦に連なった、暖房器具である。

このヒーターにまっすぐ向かった醤油のパックは何十分の一かの確立で、ちょうど二枚のパネルの間に飛び込んだ。そして、なんの因果か、反対側へ通り抜ける前にパネルとパネルの隙間のちょうどど真ん中――もっとも手が届きにくいところに残った醤油を全部ぶちまけてくれた。

何しろ、パネルの間はものすごい高温である。じゅーっという音と共に部屋の中に一気に広がる焼けた醤油の臭い。これが驚くほどきつい臭いだった。百倍に濃縮したあられを両方の鼻に詰めて、口をガムテープで蓋されたような激しさで、目の裏まで醤油の臭いが染み込んでくる。

慌てて布巾で拭こうとしたものの、猛烈に熱いのでとても手を突っ込めない。醤油はちょうど真ん中あたりで垂直に流れていて、どちら側から拭くにせよ、思いっきり指先を中まで差し込まないと届かない位置だ。熱いだけじゃない。熱せられた醤油の臭いが猛烈な勢いで立ち上ってくる。すごく寒い冬の日だったが、やむなくオールヒーターの電源を落とした。しかし、オイルヒーターを使っている人なら分かると思うが、電源を切ったあとも丸三十分ぐらいオイルヒーターは熱を失わない。

外は氷点下の日だ。部屋はどんどん寒くなっていく。それなのに、ヒーターだけがなかなか冷たくならない。結局寒さに震えながら、何度もヒーターに手を突っ込んでは「あちちっ!」と一人で怒って、その間もムンムンと香る醤油の臭いで気持ち悪くなっていた。

――次の日以降も人が来る度に、「お、餅焼いた?」などと聞かれ、何度か説明しようと思ったが、あまりに馬鹿馬鹿しいので、今年の冬はスタジオではずっと餅を焼いていたことになっている。

よほど「使いにくい形をした醤油のビニールパックを作る会社」の製作担当部署に電話して苦情を言おうかと思ったが、たとえ言ったとしてもきっとこんな会話が会議の時に交わされるだけだと思ったので、やめておいた。

部下「部長! あの醤油の容器、やっぱり改良しないとまずいですよ! 見てください。こんな悲劇の投書が!」

上司「なんだ?」

部下「醤油をオイルヒーターの隙間にこぼして、一時間も醤油の悪臭で苦しんだ人がいるんです!」

上司「……」

部下「どっちからも布巾が届かなくて、部屋中が焼きすぎた餅みたいな香りに……あ、部長、何するんですか! やめてください! うわ、げふっげふっ!」

ウソみたいな話だが、誓って言うが、本当の話である。どうしても信じられないのなら、うちの一階にすごく寒い冬の日に来てみるといい。そう。真ん中の下の方だけ、どちらからもどうしても届かないところがまだ少し残っているのだ。かぐわしい餅の香りが、今もまだわずかに部屋の中に漂っている。

ほたるの群れ・次回予告

どてら猫

童話物語 幻の旧バージョン

ほたるの群れ アニメPV絶賛公開中

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